豊かな生物相が暮らす藤沢市の三大谷戸の一つ、遠藤笹久保谷戸は、健康の森という名称で公園として2022年7月16日オープンします。およそ40年前の構想に描かれた、慶應義塾大学と病院と公園が実現することとなります。

 この健康の森には、昔遠藤の住民達が田んぼを前面に山を背に住んでいました。関東大震災で全ての建物が倒壊すると、住民の皆さんは丘の上に移り住みました。今でも健康の森の各所にお墓や道祖神があるのは、昔の集落の跡を示しています。そのあと時代を下り、鉄道会社が車両基地を予定して購入された後、慶應義塾大学SFC の構想を経て、貴重な生物相が残る場所を守るために藤沢市が購入し、2012年に健康の森基本計画が策定されて、2019年から造成工事が始まりました。そして2022年4月、公園の基版が仕上がりました。続く取組の一つは、基本構想の中で描かれた公園中央の田んぼと花菖蒲園をつくることです。

 古民家ごんばちで取り組んでいる打戻地区のお米作りでは汲み揚げた地下水を用いてますが、その用水は小出川の支流です。小出川は藤沢に端を発する唯一の川であり、源流域の遠藤、御所見、小出、芹沢から水が流れ込み、河口付近で相模川に合流して、相模湾/湘南海岸に流れ着く一級河川です。健康の森は、この小出川の源流域の中で流量の多い地区に当たります。同じ小出川の流域を盛り上げる活動として、遠藤笹窪谷公園愛護会の市民の有志で取り組む花菖蒲の植え付けに参加しました。

 5月、花菖蒲の植栽箇所の土を耕し、工事で入ってしまった石を拾い、雑草を取り除きました。花菖蒲は江戸時代の園芸文化の高まりの中で生まれた品種の一つです。江戸系、伊勢系、肥後系と別れていますが、今は相当の品種数があるとのことです。基本構想の立案段階から花菖蒲園の構想を立てていたので、里地里山景観と農業の再生プロジェクトの藤沢えびね・やまゆり園で苗を育てていました。その苗を掘り起こして、根と葉を揃えて、植え付け用に仕立てる準備を行います。

 そして6月27日9時~11時半、主催者の遠藤地区青少年育成協力会・秋葉台サンシャイン・秋葉台中学校から交流会の開会を宣言した後、130名の中学一年生達は三班に分かれて、公園施設見学、遠藤笹窪谷散策、そして花菖蒲およそ1200株を植えました。2023年の5月~6月には、花菖蒲がきれいに咲きほこってくれることが楽しみです。

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